【管理の極意 その4】入居者募集の実務——「伝え方」で決まる

こんにちは。株式会社梶原エステートです。
以前、市場調査とランチェスター戦略で「どこで戦うか」を決める話をお伝えしました。今回はその次、決めた強みを「どう伝えるか」という実務の話です。
同じ部屋でも、募集の仕方によって問い合わせ数は大きく変わります。戦略が正しくても、伝え方で取りこぼしていることは少なくありません。
入居希望者は三段階で絞り込む
まず、部屋探しの流れを押さえます。入居希望者はポータルサイトで条件検索をし、一覧から気になる物件をクリックし、詳細を見て問い合わせます。
この三段階には、それぞれ別の課題があります。検索で表示されるか。一覧でクリックされるか。詳細で問い合わせに至るか。どの段階で落ちているかによって、打つべき手が違います。反響がまったくないのか、閲覧はあるが問い合わせがないのかを、管理会社に確認しておくと原因が絞れます。
検索に引っかかる条件設定
第一段階は、検索条件に入ることです。
家賃の設定でよくあるのが、六万一千円や八万二千円といった半端な金額です。多くの入居希望者は「六万円以下」「八万円以下」といった区切りで検索するため、わずか千円の差で候補から消えます。六万円ちょうどに設定したほうが、結果的に早く決まることがあります。
同様に、検索条件に使われる項目をどれだけ満たしているかも重要です。バス・トイレ別、二階以上、独立洗面台、インターネット無料、ペット可、駐車場あり。これらは絞り込みのチェックボックスとして機能するため、該当するのに登録されていなければ、存在しないのと同じです。物件情報の入力漏れがないかは、一度確認する価値があります。
写真が閲覧数を決める
第二段階、一覧でクリックされるかどうかは、ほぼ写真で決まります。
一覧には一枚目の写真しか表示されません。ここで外観を出している物件が多いのですが、築年数が進んだ建物では不利に働きます。室内の広く明るい一枚、多くの場合はリビングや居室を、正面から撮ったものが有効です。
撮影の基本は、晴れた日の日中、照明を全灯し、カーテンを開け、広角で部屋の角から撮ること。水回りは掃除をしてから撮ること。枚数は多いほどよく、収納の中、バルコニーからの眺望、共用部やゴミ置き場まで載せると、内見前の不安が減ります。
意外に効くのが、生活動線の分かる情報です。周辺のスーパーやコンビニまでの距離、最寄り駅までの経路の写真。ここまで載せている募集は多くありません。
募集図面と紹介文
第三段階、問い合わせにつながるかどうかは情報量で決まります。
設備の羅列だけでなく、どんな人に向いているかを書くこと。「在宅勤務に使える約四・五畳の洋室があります」「スーパーまで徒歩三分、二十二時まで営業」といった具体性が、読み手に生活を想像させます。
前回までにお伝えした通り、絞り込んだターゲットに刺さる一点があるなら、それを前面に出します。「駅徒歩十分圏で希少なペット二匹可」のように、条件で検索した人にとって唯一の選択肢になる書き方が有効です。
仲介会社に紹介されるために
もう一つ、見落とされがちな視点があります。入居希望者は物件を選びますが、その前に仲介会社の担当者が紹介する物件を選んでいます。
担当者にとって紹介しやすいのは、情報が揃っていて、鍵の手配がすぐでき、申込後の手続きがスムーズな物件です。逆に、室内の写真が少ない、現地案内の段取りに手間がかかる、といった物件は後回しになります。
広告料の設定も判断材料のひとつですが、金額だけの問題ではありません。募集図面が分かりやすく、案内しやすい状態が整っているかどうかも、紹介頻度を左右します。
やってはいけないこと
最後に、避けるべき点を挙げます。
内見できない状態で募集を出すこと。残置物や前入居者の荷物が残ったまま、原状回復が終わる前に掲載すると、印象を損ないます。
写真を実際より良く見せすぎること。内見時のギャップは、その場で断られる原因になります。
そして、反響がないまま同じ内容で掲載を続けること。二週間ほど様子を見て動きがなければ、写真か条件か、どちらかを変える判断が必要です。
まとめ
部屋探しは検索・一覧・詳細の三段階で進む。家賃は検索の区切りを意識して設定し、条件項目の登録漏れをなくす。一覧でのクリックは写真で決まるため、明るい室内の一枚を先頭に置く。紹介文はターゲットが想像できる具体性を持たせる。仲介会社が紹介しやすい状態を整えることも、実質的な募集力になる。そして反響を見ながら、二週間単位で見直す。
次回「管理の極意 その5」は、入居審査の考え方をお届けします。
募集内容を見直したいとお考えの際は、お気軽にご相談ください。