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【管理の極意 その6】更新と契約管理

【管理の極意 その6】更新と契約管理

こんにちは。株式会社梶原エステートの梶原です。

前回は入居審査についてお伝えしました。今回は、入居後に続く契約の管理です。

地味な領域ですが、取りこぼしが最も高くつくのがここです。書類が揃っているかどうかで、トラブル時の結果も、売却時の評価も変わります。

更新を放置すると「法定更新」になる

普通借家契約では、期間満了までに何の手続きもしなければ、契約は従前と同じ条件で自動的に継続します。これが法定更新です。

問題は、法定更新になると期間の定めのない契約として扱われる点です。以後は更新のタイミングそのものがなくなるため、契約書に定めがあっても更新料を請求することは難しくなります。また、貸主から解約を申し入れるには正当事由が必要で、ハードルは高いままです。

つまり、更新手続きを忘れることは、収入の一部と契約のコントロールを同時に手放すことを意味します。期限管理は契約管理の中核です。

連帯保証人の極度額

二〇二〇年の民法改正で、個人が連帯保証人となる根保証契約には極度額の定めが必須となりました。極度額が定められていない場合、その保証契約は無効です。

古い書式を使い続けている場合、ここが抜けていることがあります。いざ滞納が発生したときに保証人へ請求できない、という事態を避けるため、現在使用している契約書の様式は一度確認しておくべきです。

保証会社と火災保険の更新漏れ

家賃保証会社を利用している場合、保証委託契約にも更新手続きがあります。入居者が更新料を支払わず保証が切れていた、というケースは実際に起こります。

火災保険も同様です。入居者が加入する借家人賠償責任保険が失効していると、漏水事故などで建物に損害が出た際に、回収できなくなります。賃貸借契約の更新とセットで、保証と保険の状態を確認する習慣が有効です。

契約内容の見直し

更新は、契約条件を現在の実務に合わせる機会でもあります。

原状回復の負担区分について、国土交通省のガイドラインに沿った特約になっているか。ペットや楽器、同居人の追加に関する定めがあるか。これらが曖昧なままだと、退去時に判断の根拠がありません。

なお、入居者に不利な特約は、内容が明確に説明され合意されていなければ効力を争われます。文言を厳しくすれば守られる、というものではありません。

書類は揃っているか

契約管理の実態は、書類の管理です。

賃貸借契約書の原本、重要事項説明書、申込書、保証委託契約書、火災保険証券の写し、入居時のチェックリストと写真、鍵の本数と交換履歴。これらが一室ごとに揃っているかどうかが、管理品質の実質です。

この積み重ねは売却時にも効きます。収益物件の売買では、買主は契約関係を引き継ぎます。契約書が揃っていない、内容が不明な物件は、それだけで評価が下がり、交渉材料にされます。

やってはいけないこと

更新時期を把握しないまま放置すること。前述の通り、法定更新は後から取り戻せません。

名義や居住実態の変更を確認しないこと。契約者以外が住んでいる、同居人が増えている、事務所として使われている。こうした状態を長期間放置すると、是正の申し入れそのものが難しくなります。

そして、書類を物件単位でまとめず、担当者の記憶に頼ること。管理会社を変える際、引き継げるのは書類だけです。

まとめ

更新手続きの失念は法定更新を招き、更新料と契約のコントロールを失う。個人の連帯保証人には極度額の定めが必須で、なければ無効になる。保証会社と火災保険の更新状態も、賃貸借契約とあわせて確認する。原状回復や特約は更新時に見直す。そして契約関係の書類が一室ごとに揃っていることが、管理品質であり、売却時の評価にも直結する。

次回「管理の極意 その7」は、滞納への対応をお届けします。

株式会社梶原エステート
代表取締役 梶原 淳
不動産売買・売買仲介・賃貸管理